法人成りのメリットについて

確定申告が終わり1年間の売上高や利益額が確定すると気になるのが法人成り。もし昨年法人成りをしていれば税金はどうだったんだろうか。今後事業拡大のためには法人成りをしたほうがいいのだろうか。今回はそんな法人成りについて三回に分けて、「第1回目は法人成りのメリット」「第2回目は法人成りのデメリット」「第3回目は具体的な事例」をご説明します。

【法人成りとは】

・個人事業主が法人(株式会社・合同会社等)を設立し事業を法人に引き継がせることです。

【法人とは】

・法律によって「人」と同じように扱われ、権利や義務を認められた組織です。社長個人と法人組織は別人格という扱いになります。

【メリット】

①社会的な信用度が高くなる。

 個人事業と法人では印象に大きな差があります。法人としか取引をしないという企業もあり、個人事業主では直接的な取引ができないこともあります。

 求人募集も福利厚生面の安心感などから法人への応募の方が多いかもしれません。※そもそも有名求人サイトのなかには個人事業では掲載してもらえないところもあるようです。

②税率差による節税ができる。

 所得税は所得額に応じて税率が5%~45%の間で変動するのに対し、法人税は年800万円までの利益であれば約16.5%(中小法人の軽減税率)で一定のため所得額が大きければ税率差による節税効果が期待できます。

③役員報酬を経費にでき、給与所得控除を受けられる。

 個人事業主は自分に給与を出すことができませんが法人は社長に給与(役員報酬)を支給できます。

 その給与は法人では経費になり社長個人では給与収入となります。給与収入には所得税や個人住民税がかかるわけですが、税額計算の過程で「給与所得控除」という特別な控除(経費)をつかえます。

 これは給与にのみ発生する特別なもので個人事業主では利益に直接所得税がかかるのに比べて所得税が課税される金額が小さくなります。

④消費税納税額を小さくできる可能性がある。

 消費税は2年(期)前の売上高が1,000万円を超えると納税義務が発生するのですが、法人成りをすると「2年前の売上高」が無いという扱いになり最長2年間消費税の納税を免除されます。

 ただ、2023年10月よりはじまったインボイス制度の影響で設立初年度よりインボイス登録を求められる可能性があります。

 つまり法人成りのメリットである消費税の納税免除期間を捨てて“わざわざ”納税義務者になるということです。事業内容や取引先の出方にもよりますので消費税の面のみで法人成りを決めるのは注意が必要です。

⑤各種規程を設けることで経費の幅がひろがる。

 法人は各種規程を設けることができ、その規程通り支給することで経費の幅を広げられます。

 代表的なものでは「出張旅費規程」があります。出張などがある場合、個人事業主は交通費や宿泊費の実費部分のみが経費になります。それに対し法人は規程を設けることで実費以外に出張期間等に応じた日当を支給することが可能です。この日当は支給する法人側では経費になりますが、受け取る社長や従業員側では収入になりませんのでメリットは大きいといえます。

⑥社長に退職金を出すことができる。

 個人事業主は自身に対して退職金を支給することができません。それに対し法人は社長が退職した際に退職金を支給でき、その金額が過大でなければ法人の経費になります。退職金は個人の収入の中では特別なもので、社会保険の負担が無く所得税や住民税の負担もその他収入にくらべて少なくなっています。

 

上記以外にも法人が別人格であることを利用した社宅契約の活用などもあります。

今回は法人成りによる代表的なメリットをまとめてみました。

次回は法人成りによるデメリットについてご説明します。

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