会社員に対する定額減税は、給与支給者が源泉徴収するときに行うことになります。
今回は「定額減税(給与支給者の事務手順)」について説明します。
会社員に対する定額減税の事務は大きく2つに区分できます。
- 月次減税事務・・・2024年6月1日以後、給与等(賞与を含みます。)に対する源泉徴収税額から定額減税額を控除する事務。
- 年調減税事務・・・年末所得税額から年調減税額の控除を行い、年調減税額を控除した後の金額に102.1%を乗じて復興特別所得税を含めた税額で、年調年税額の計算を行います。
定額減税について
1.月次減税事務
2024年6月1日以後、最初に支払う給与等(賞与を含みます。)に対する源泉徴収税額から月次減税額を控除します。控除しきれない部分の金額は、以後2024年中に支払う給与等に対する源泉徴収税額から順次控除します。
①控除対象者の確認
2024年6月1日時点、給与の支払者のもとで勤務している人のうち、給与等の源泉徴収において源泉徴収税額表の甲欄が適用される居住者の人(以下、基準日在職者という。)
※控除対象者の確認時点では合計所得金額を勘案しないので、合計所得金額1805万円超えが見込まれる基準日在職者に対しても、月次減税事務を行います。
②各人別控除事績簿の作成
基準日在職者の各人別月次減税額と各月の控除額等を管理。
国税庁作成の「各人別控除事績簿」を活用し、管理できます。
給与ソフトを利用されている方は、ご利用の給与ソフト会社へ定額減税の対応を確認ください。
③月次減税額の計算
「同一生計配偶者と扶養親族の数」に応じて、「本人30,000円」と「同一生計配偶者と扶養親族1人につき30,000円」との合計額を計算。
月次減税額計算の対象になる同一生計配偶者とは、控除対象者と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が48万円以下の人。
月次減税額計算の対象になる扶養親族とは、所得税法上の控除対象扶養親族だけでなく、16歳未満の扶養親族も含みます。
※扶養控除申告書記載の親族と、月次減税計算の対象になる親族は対象範囲が異なりますので留意しましょう。扶養控除等申告書に記載のない同一生計配偶者や16歳未満の扶養親族については、最初の月次減税事務を行うときまでに、控除対象者から「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出を受けることで月次減税の計算人数に含めることができます。

④給与等支払時の控除
月次減税額が控除前税額以下なら全額控除。月次減税額が給与等の源泉徴収金額を超える場合、初回は一部未控除で税額0円。2回目以降は未控除額を消化するまで順次控除、未控除間は税額0円になります。
⑤控除後の事務
・給与支払明細書への控除額の表示
「定額減税(所得税) 〇〇〇〇円」又は「定額減税○○○○円」と記載します。
・納付書記載と納付等
納付書の記載金額は各人毎の「月次減税額の控除を行った後の金額」を集計した金額です。
2.年調減税事務
・年調減税事務では、年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき、年間の所得税額との精算をします。詳しい内容は、国税庁ホームページの「年末調整がよくわかるページ」へ令和6年9月頃掲載される予定です。
・源泉徴収票への記載
年末調整後に発行する「給与所得の源泉徴収票」には、「源泉徴収時所得税減税控除済額×××円」を摘要欄に記載する必要があります。ただし、年末調整を行わずに退職した場合や、収入が2,000万円を超えるなど年末調整の対象外の場合は、定額減税額の記載は不要です。
今回は、第3回「定額減税(給与支給者の事務手順)」について説明しました。3回にわたり、定額減税について説明しました。第1回「会社員の定額減税(所得税・住民税)」、第2回「会社員以外の定額減税(所得税・住民税)」も合わせて確認ください。
「納税者に対する物価高を受けた家計支援策として実施される定額減税」
できるだけ早く減税の恩恵を実感できるように、2024年6月の源泉所得税の徴収事務から開始されます。給与支払者側での事務負担も増えますので、早めに準備をしましょう。
出典:給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分の所得税の定額減税のしかたhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023012-317.pdf